「なーなー、ゲームしよっぜー」
「……状況を把握してからものをいいなよ」
「誰のために頭ひねってると思ってんだよ!」
あらら、怒っちゃいましたか。
//////// like a Beast ! ///////
「なーなー、ゲームしよっぜー」
「……状況を把握してからものをいいなよ」
「誰のために頭ひねってると思ってんだよ!」
あらら、怒っちゃいましたか。そりゃまあそうでしょうね、なんてったって俺がお前たちを呼びつけて、しかもその理由が、パズルがうまくはまんなくて部屋がすごいことになってるから助けて、ですもんね。そりゃあ腹もたつでしょうとも、お二方。
でもこっちもこっちで大変だったわけよ、親にはぎゃんぎゃん騒がれるし、パズルは一向にうまくはまらないしで。そっりゃあ、大変だったわけよ。
なんて、そんなことを思いながらベッドの上から二人を見下ろす。よくもまあ、まじめに組み立てられるもんだ。そう思った。
「……んだよ、これ、本当どうなってんだ」
「そもそもなんで球体パズルなんて持ってるの、結人が」
「お、いいこと聞くじゃん、英士!、それ、それねファンのこがくれたのよ。ファンだって!ちょっとおい、聞いてんのかよ、ファンだぜ、ふぁ・ん!」
「ああ、…どうりでね」
人の話を聞いているのかいないのか淡白な反応しか返さない二人に眉を潜めて、もちっとなんかないわけ、とつぶやく。
自慢でもないが、いや、自慢ですが、この年(齢14)にしてファンがいてなおかつプレゼントなんてされちゃうってのはすごくないですか、ちょっと、お二方。
「……、その反応はなんなわけ」
「そもそも結人に球体パズルなんて根気のいる遊び、できるわけがないからね」
「しっつれいな男だな!」
「事実でしょ。ああ、かずま、そこの足元のとってくれる?」
「あ、これか」
「………」
涼しい顔をするえいしに、俺は不機嫌な気分を露にして、じいっとにらみつける。一馬もかずまだ、なんでなんのフォローもしないわけ。
「…結人、にらむくらいならお前も手伝いなよ」
「いやですー、ていうか、一馬さぼんな」
「さぼってねえだろ!つーか、お前が一番さぼってんじゃんか」
「俺は途中まで組み立てたんだから義理は果たしたんですー」
「じゃあ最後までやれよ、お前がもらったんだろ」
「いやだね」
「んだよ、それ!」
「結人、一馬」
冷静な声で間に割って入る英士にうっせえよ、と毒づきながら、ごろんとそのまま寝転がる。腕にはこの前ユーフォーキャッチャーでとったでっかいぬいぐるみがいて、そのやわらかい感触を楽しみながら、「つっまんねえの」と小さくこぼす。
「じゃあお前組み立てろよ」
「うっせえな、かずま」
「大体なんで結人のプレゼントを俺たちが組み立てなくちゃなんねんだよ!」
「いいだろ、べつにー、あとでジュースでも出してやるよ」
「いらねえよ」
「あ、そ」
英士は案外というか、見たままというか、黙々と作業することがもともとの性にあっているのか、いつのまにか熱中し始めたようで淡々と作業を続けていく。その姿がまたやけに鼻について、手の中にあるぬいぐるみを不意にほうった。
きれいな弧を描き、見事命中する。
「……なんのつもりなの、結人」
「なあ、ゲームしよっぜ」
「だっから、なんでお前はそう自分勝手なんだよ」
一馬が立ち上がる。
心底あきれた顔だった。上から見下ろされて、あーあー、めくらじたてちゃって、まあ。と、からかうと、ますます眉間にしわを寄せて、かすかに怒りをあらわにする。
いいかい、わとすんくん。
なんでだかこの前テレビでやってたせりふが浮かんだ。なんだっけ、これ。なんかの探偵ものだった気がする。
いいかい、わとすんくん。
いいかい、――いいかい、一馬くん。君にわかるかね。
わかるかね?
「かずま、もうちょいかがんで」
「はあ?」
「いいから。かがめって」
「……わけわかんねえ…」
「か が め」
しぶしぶといったかずまの首に腕をまわし、ぐいっとひっぱった。かずまは案の定バランスを崩し、俺のちょうど心臓の上にその頭を押し付けるようにしてその場にひざをつく。
英士が表情をかえないまんま、少しだけ身じろぎする。
わかってるわかってる、お前のそういう反応は驚いたっていうのを示してんだろ。何年の付き合いだと思ってんだ、えいし。かずまだってそうだ、驚いたあまり何もいえなくなってるんだろ、ていこうする気もうせてしまうほどに、おどろいてんだろ。
ああ、まったく、なんてわかりやすい人たちだこと!
「……なに、すんだよ」
「えいしもこいよ」
「いや、いい」
「いい、ってなんだ、失礼な」
「俺も遠慮したいんだけど」
「うっせえ、かずまはだまってろ。つか、えいしもこいっつのー」
「いやに決まってるでしょ」
遠慮のない物言いに「失礼なおとこだな!」と少し笑いながら、「あーあ」と息をつく。
まったくまったく、なんてわかりやすいこと。
まったくまったく、なんてなんて わかりやすい人たちだこと。
けれどお前たちにはわかるかい、
わかるのかい、
「なあ、ゲームしようぜ」
「あのな、ゆう…」
「せっかく久しぶりにあつまったっつーのにさー、なんなわけ、俺はそういうためによんだんじゃないっつの」
「……」
「……」
まったくまったく、ここまでいわないとわからないのかね、きみたちは。
わかるかい、わとすんくん。
わかるかい、えいしくん。
わかってるのかい、かずまくん。
わかっているのか、
おれのかんじょう という ものを。
わかっているのか、
きみたちは。
「まあ、アバウト6割でパズルが完成したら部屋きれいになっかも?、とは思ってましたけどー」
「ていうか、それ、半分以上じゃん…」
「無駄に英語つかうのやめなよ、かっこわるい」
「くっそ、お前らもう少し俺を敬え!」
ぎゅう、と、かずまを抑えていた腕の力をこめる。
えいしもこい、やってやる、というとえいしはやっぱり「いや、俺はいいよ」と逃げた。
いや、お前はいいかもしれないが俺はやらないと気がすまないんですけど。
そう思っていると、えいしが小さくためいきついて、できるわけないでしょ、と、いった。
「できるわけないでしょ、敬うなんて」
もう少し素直にそういうこと言えればいいんだけどね
「……うっさいですー」
「いいからそろそろはなせよ!」
「はいはい、おこちゃまかずまくん、ごめんなさいね」
「ふざけんな、さびしがりのくせに」
「てっめえ、お前たちが遊びたがってたからこのゆうとさまが察していってやったんだろ!」
あきれたように小さく笑うえいしにむっとしながら、「つーか、そのパズルえいしにやっから、組み立てたら俺にかえせよ」と続ける。
「はいはい、わかったから。ゲームでしょ」
「なにやんの、なにやりたいんだよ、ゆうとは。格闘はやだぜ、おれ」
「ああ、お前よっわいもんなー、かずまくんは!現実世界とおんなじで!」
「ふざけんな、人生ゲームやれば必ず借金地獄になるくせして」
「うっせーつの」
「二人とも何でもいいからはやくして」
「んだよ、えいし、お前はゲームのつなげ方もわかんないくせに、おまえもうっさい!」
そうつぶやきながら立ち上がる。
先ほどえいしに放り投げたぬいぐるみをつかんで、バスっと今度はかずまへとほうった。見事命中。
「ふっざけんなよゆうと!」
「はいはい、すみませんねー」
「ふたりとも。」
あきれたようなえいしの声に、はいはい、とつぶやいてゲーム機を探す。まだぶつくさいっている一馬を無視して、「格闘からな」と告げると、案の定こうぎの声があがった。
しかしながら、決定を覆すことはできません。(なぜならかずまだから)。
そんな俺たちを見ながらあきれたように「ほんとう、いつまでたっても成長しないね」とつぶやくえいしに「お前はいくつなんだっつのー」と声をあげて笑った。
なんていうんですか、なんていうんですか、
よくある日常です、よくある日常なんですが、
わかるかい、えいしくん、(俺たちは3人でいるのがベストなわけなんですよ)
わかるかい、かずまくん、(お前たちには口が裂けてもいいたくないんですけどね)
作りかけの地球儀(の形をした)ジグソーパズルに、小さく舌を出した。それをもらったとき、女の子につぶやかれた言葉が頭をよぎる。
――これで三人で、遊んで。さんにんで一緒にいるときの若菜くん、すごく楽しそうだから。
ファンの心理っていうのはよくわかりません(俺はおとこですから)ただ、この子がのぞんでんのはあれでしょ、要するに俺が一番楽しんでる姿ってことだろ。
だったら、わりーけど、ジグソーパズルは、無理です。
わりーけど、おれ、他人からもらったゲームで3人で遊ぶなんて、無理です。
わかるかい、わかるかい、
わかるかい、きみたち。
俺はひどくほしがりで、ひどく独占欲のつよい、野獣のような、そんなふれあい方しかできない、そんなそんな男なわけなんですよ。
だから、まあ、そのね、
「よっしゃ、まずは目標、全勝で!」
「ぜってえ阻止する…」
「ぎゃははは、ありえねー」
だから、まあ、そのね、堪弁してやってくださいよ。地球儀の君。
あれだよ、きみの気持ちはじゅうぶん伝わっているからさ!!!
(最後のびっくりマーク3つのところとかでそれを感じ取って頂戴!)
「やっり、ぜんしょーぜんしょー」
「むかつく」
「ぎゃははは!」
わかるかい、わかるかい、
――それだけこの関係に依存しているんだと、そういうことなんだと
きみには わかってしまったのかい
ファンの君
きみたちには 伝わっているのかい
だいじなだいじな お二方
わかるかい、
わかっているのかい、
おれ の この 野獣のようなかんじょう を。
<< 2004/03/29.Haruka.S
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